<開発の背景>
ハーティングは、製造現場でのデータ収集・加工・処理やネットワーク接続のニーズに応えるため、耐環境性と柔軟性を備えたLinux OSのモジュラー型産業用コンピュータMICAを開発し、2016年初めから提供しています。ハーティングの日本法人、ハーティング株式会社は、MICAの発売以来、ユーザ企業のニーズに合わせてカスタマイズを行い、MICAの導入を支援してきました。同社では、製造現場へのIoT(モノのインターネット)の小規模および初期導入においてラズベリーパイが使われている点に着目し、MICAの耐環境性とラズベリーパイのオープン性という、両製品の長所を組み合わせたMICA-Rを開発しました。
<特長>
MICA-Rは、モジュラー型産業用コンピュータMICAの基本構造にラズベリーパイを組み込んだ新製品です。元々研究開発用途で発展してきたラズベリーパイは、その手軽さから2012年の発売以来、一気に普及しましたが、産業用途には拡張性や柔軟性が不十分な上、環境の厳しい現場で連続運転するには耐久性や耐環境性に課題があります。MICA-Rは、従来のMICA同様、手の平サイズのコンパクト設計、堅牢なアルミダイカストハウジングで、機械への直接取り付け、鉄道車両や屋外での使用に対応します。内部は、CPU基板、電源基板および自由に開発できる拡張基板で構成され、CPU基板はラズベリーパイCompute Module 3+を実装しています。このため、ラズベリーパイ用に提供されている無償・安価なソフトウェアと、公開されている様々なナレッジリソースを活用しながら、ユーザの求めるIoTデバイスを迅速に開発できます。拡張基板は、ネットワーク接続機能や追加USBポート、IO-Link接続機能や高性能マイコンを搭載したボードを用意しています。また拡張基板は、ユーザのニーズに合わせて新たに開発することも可能です。MICA-Rと組み合わせるカメラ、各種センサー、無線モジュールやコネクタも提供しています。
<ターゲット>
IoT化に取り組む製造業界や鉄道業界
<MICA-R概要>
- プロセッサ:BCM2837, 1.2 GHz, quad-core
- メモリ:1GB RAM、eMMC 4GB / 8GB / 16GB(標準)/ 32GB
- OS:Raspbian
- 電源:24V
- 通信:有線 100Mbpsイーサネット。無線 WLAN、BLE/Bluetooth 4.0 (USBドングル使用時)。
- インターフェース:1 x イーサネット、1 x USB 2.0、1 x RS-232C(標準)/ I2C
- 堅牢なアルミダイカストハウジング:防塵防水 保護等級IP65、耐EMC、耐振動、耐衝撃
- サイズ:幅132 mm x 高さ35 mm x 奥行86 mm
- 重量: 約600g
- 追加ボード(オプション):
- USB接続用ボード: 2 x USB 2.0
- オープンネットワーク接続用LAN/COMボード:1 x イーサネット、1 x RS-232C / RS-485
- IO-Link接続用ボード: 4 x IO-Link
- 高性能マイコンSTM32実装32点+ CAN入出力ボード:2 x GPIO1/GPIO2, 1x CAN/I2C
- 高性能マイコンSTM32実装センサ接続用ボード:4 x SENSOR
など